1997 Fiscal Year Annual Research Report
主要7名の業績からみた戦前期日本における教育社会系心理学の展開
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09710071
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 達哉 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90215806)
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Keywords | 心理学史 / 松本亦太郎 / 元良勇次郎 |
Research Abstract |
今年度は、既に利用できる資料や購入した「文献選集 教育と保護の心理学」、「実験心理学研究」、「変態心理」を用い、元良勇次郎、松本亦太郎をはじめとする我が国における主要な心理学者7名の学術誌ならびに準学術誌に掲載された論文リストを作成した。新聞記事における登場記事についても検索を行った。これらの論文や記事については複写を行っており、内容の検討も適宜行っている。 また、海外の心理学史関連図書を購入し、他国の心理学発展の様相を捉え、我が国における展開を相対的に理解する準備を行った。さらに、東大心理学研究室や京大心理学研究室に保管されていた書類などを整理する機会をもち、過去の器材や写真などを発掘し、初期心理学者の活動について理解する資料を得ることができた。 整理・収集した資料や情報はすべて電子ファイル化を行っており、ホームページで閲覧できる形式に保存してあり、心理学史バーチャル博物館にむけて準備中である。 今回資料を発掘している心理学者は、学術誌のみの業績から理解されている面があった。しかし、本研究のようにさまざまな準学術誌にまで調査の対象を広げると、社会との接点が非常に大きい。教育をはじめとする社会的問題に対する貢献は非常に大きく、明治・大正期の心理学者は決して「象牙の塔」にこもっていたわけではないことがうかがわれるのである。具体的な活動の諸相については次年度の研究によって明らかにしていきたい。 なお、1997年11月に、長年準備してきた「通史 日本の心理学」を刊行したが、その中で元良勇次郎と松本亦太郎については、独立の節を設けてその生涯ならびに業績について解説することができた。その他の心理学者についても随時紹介、解説を行った。
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Research Products
(1 results)