1997 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園における幼児の情動表出・制御と保育者の働きかけ
Project/Area Number |
09710072
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
平林 秀美 福島大学, 教育学部, 助教授 (90261718)
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Keywords | 情動表出 / 情動制御 / 幼児 / 保育者 / 怒り / 悲しみ / 介入 / 文脈 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児を対象に縦断的に観察を行い,幼稚園における情動表出とその制御について,その生起頻度や文脈を分析することにある。また,保護者が幼児の情動表出に対してどのように働きかけているのかを分析することにより,情動の制御が社会的に学習されていく過程について明らかにすることも目的とする。本年度は,大学附属幼稚園の3歳児クラス(20名)の幼児とそのクラス担任の保育者を対象に,週1回程度の観察を継続して行い,幼児の怒り(anger),悲しみ(sad)等のネガティヴな情動の表出とその制御を中心に,分析を行った。その結果,3歳児は幼稚園で怒りや悲しみの情動を表出する頻度が比較的多く,表出する文脈(原因)も様々であり,遊び場や物をめぐるトラブル,片付け時のトラブル,座席の取り合い等,対人的なトラブルのほかに,自分自身で転んだり物にぶつかって泣く場面もあった。対人的なトラブルの場合の3歳児の行動特徴としては,相手に対してすぐに手が出てしまうこと(攻撃行動)が多かったが,相手に向かって言葉で自己主張をする場合や,何も言えずにただ泣く幼児の姿も見受けられ、かなり個人差が大きいようであった。これらの情動表出に対する保育者の働きかけとしては,3歳児の場合,子ども同士でトラブルを解決させることはせずに,必ず保育者が介入を行い,情動を表出した理由を幼児に説明させる場合が多かった。今後の研究では,4歳児/5歳児と継続して観察を行い,幼児の情動表出や制御の変化および保育者の働きかけの変化について検討していく予定である。
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