1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本における沖縄系ペル-人の定着過程とネットワーク形成についての社会心理学研究
Project/Area Number |
09710074
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石井 宏典 茨城大学, 人文学部, 講師 (90272103)
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Keywords | 多文化社会 / ネットワーク / 共同性 / 南米出身者(ラティーノ) / 沖縄系移民 |
Research Abstract |
本研究は、南米ペル-からの日本出稼ぎ者のうち、沖縄の特定集落の出身者とその子孫を対象にした継続的研究の成果を受けて立案された。集落出身者の子孫を各地に訪ね歩くなかで、北関東(群馬、栃木、茨城)を横断する国道50号沿線の各工業都市に南米出身者(ラティーノ)が集住しはじめていることがわかった。そこで、北関東におけるラティーノ・ネットワークの形成過程をおさえることをねらいとし、とくに集住傾向の著しい栃木県真岡市をフィールドに定性的研究を展開した。 真岡(人工6万)は、1960年代半ばから70年代にかけての工業団地造成がきっかけで多くの転入者を抱えるようになり、旧住民と新住民との混住社会を形成してきた。1990年代に入ると多くのラティーノを抱え、さらなる多文化社会へと変貌しつつある。全人口の3%を超える2千人(うち、ペル-出身者は650人)のラティーノは、南米料理レストラン、カトリック教会、サッカーリ-グなどを結節点としたゆるやかなネットワークを作っている。本研究ではとくにカトリック教会に焦点をあて、日本人信者とラティーノを中心とする外国人信者が共同して信仰の場を創りあげようとする過程を、参与観察およびインタビューであきらかにしようとした。さまざまな文化的背景をもつ人たちがひとつの場に集い、あらたなつながりを模索する試行錯誤の過程を把握するなかで、「多文化社会におけるつながり・共同性の模索」という普遍的なテーマが浮かび上がってきた。来年度もさらにこのテーマのもとに調査を継続する予定である。
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