1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710090
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯澤 正道 広島大学, 教育学部, 助教授 (10253238)
|
Keywords | 幼児 / 認知発達 / 幾何学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児期に図形の大小比較に関する方略がどのように発達するのかを検討することであった。本年度は,図形の大小比較に関する方略の利用と次の要因との関連性を検討した。a)図形の大小に関する知識(2つの図形を重ねたとき,他方の図形に包含される図形が小さいことが分かるなど),b)メタ方略的知識(図形の大小比較にどの方略を使用すれば良いかが分かるなど),c)折り紙の経験,c)図形の大小比較の判断(2つの図形を提示されたとき,どちらが大きいか,小さいかを判断できる)。 同意を得た保育園で3〜6歳児に以下の実験を実施した。a)図形の自由比較課題(被験者に2つの三角形または四角形の大小を自由に判断させる),b)方略選択課題(2つの三角形の大小を比較するための方略を子どもに提示し,その中から適切な方略を選択させる),c)“重なり"比較課題(重ねた2つの三角形の大小を判断させる),d)折り紙課題(提示された折り紙のモデルを援助なしにできるようになるまで繰り返す),e)大小判断課題(基準図形と対象図形の大小を知覚的にまたは直接手で操作して判断する)。以上の実験結果から主に次のことが示唆された。 1.3,4歳児でも重ね合わせた図形の大小を適切に判断できることが示された。 2.重ねる方略を自発的に使用する以前に,その方略の有効性を判断できることが示唆された。 3.図形の大小比較方略の自発的な使用と折り紙課題には関連性が見られなかった。 4.基準図形と対象図形の大小を知覚的に判断するよりも,直接手で操作して判断する方が適切に(二次元の関係から)判断でき,またそのことが自発的な方略の利用と関連していた。
|
Research Products
(1 results)