1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710095
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤田 敦 大分大学, 教育学部, 講師 (80253376)
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Keywords | 類推 / 専門性 |
Research Abstract |
本研究は,自己の専門領域を基底領域とした類推が,専門性の成長過程においてどのように変化していくのかという問題を検討することを目的としている。2年間の専門教育課程で「人間の目の構造」に関する科学的知識の学習とその知識を利用した現場実習を体験する眼科医療技師専門学校生(約30名;眼科群)と,大学の教員養成課程の2年に属し,3年までの2年間で教職に必要な知識の学習と教育実習を体験する大学生(約30名;教育群)の2つの被験者群を設定し,4項形式の類推文生成課題(aとbの関係はcとdのようだ.なぜならeだから.)を実施した。なおその際には,被験者の十分な仮説空間の探索プロセスを保証するために,制限時間などの実験的な制約を可能な限り軽減した。類推課題は,収束-拡散の次元を操作し,利用できる目標領域の知識の選択範囲が異なるタイプの問題を設定した。今年度の実験は,専門性の成長過程の初期の段階における類推的思考を反映するデータを得るために実施したものである。実験の結果,拡散的な課題(類推文の作成に利用できる目標領域となる知識の選択が被験者の自由に任されている課題),収束的課題(目標領域がある程度規定されている課題)とも,類推文の生成量においては,両群の差は見られず,類推と専門性の間に明確な関連性は見いだされなかった。しかし,類推に利用した知識領域の質的な差がわずかに見られ,自己の専門とする領域からの知識を利用した類推が多く行われる傾向が見られた。 ただ,今回の実験においては,両群の被験者とも専門性教育を受けて間もない段階にあり,その教育経験が積み重ねられていくにつれて,両群の差が明確に現れてくると予想される。H10年度は,この予想について検証することを目的とし,さらに実験を繰り返していく予定である。
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