1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710096
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡本 真彦 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (40254445)
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Keywords | 算数文章題 / スキーマ / 長方形問題 |
Research Abstract |
本年度は,まず,研究1:小学校における算数文章題データベースの作成,研究2:長方形問題の解決におけるスキーマの役割,の2つの研究を行った。 【研究1】小学校における算数文章題データベースの作成 研究1の目的は,小学校で教えられている算数文章題にはどのような問題タイプ(スキーマ)が含まれているのかを明らかにすることであった。そこで,大阪府内の小学校で用いられている数が多い4社(東京書籍,学校図書,啓林館,大阪書籍)の算数教科書(1年生〜6年生)に含まれている算数文章題(文章で表された問いを数的操作を用いて解く問題)を抽出し,それらを分類してデータベース化した。その結果,低学年では足し算,引き算などの演算による文章題が分類されて教えられているが,高学年になると平均を求める問題,割合を求める問題などのように解き方で文章題が分類されて教えられていることが分かる。しかし,高学年になっても計算の単元の終わりに必ずと言っていいほど文章題の問題が含まれ,文章題解決を計算技能の延長として考えていることが分かる。 【研究2】長方形問題の解決におけるスキーマの役割 研究2の目的は,4年生で教える長方形問題に焦点を当てて,長方形問題の解決においてスキーマが果たしている役割を明らかにすることであった。小学校4年生を被験者にして,公式問題と公式を応用して解く複合問題の解決との関連性を検討した。その結果,ほとんどの子どもが公式問題の解決に成功し,長方形問題のスキーマを獲得していることが明らかになった。しかしながら,公式問題の成功する子どもでも複合問題の解決には失敗する子どもが多く,長方形問題スキーマを獲得していても複合問題を解決することができないことが明らかになった。
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