1997 Fiscal Year Annual Research Report
「月と太陽の動き」のルール学習における天文映像教材の役割
Project/Area Number |
09710098
|
Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
白井 秀明 東北福祉大学, 社会福祉学部・福祉心理学科, 助手 (50281291)
|
Keywords | 誤ルール / 一貫した判断基準 / 組かえ / 事例配列 / 月と太陽の動き |
Research Abstract |
本年度、まず実施したのは、来年度の本実験で用いるプラン作成(特に、研究目標を設定するための)の情報を得るための、学習者の前提実現値についての予備調査である。特に、学習者が事前に複数の課題事態で一貫して判断基準として用いる誤ルールを持っているのか否かを調査した。調査方法は、15問の文章命題の正誤を判断させた。その結果、「太陽は、月が沈む頃に昇ってくる」「月は、形が変わっても、空に昇ってくる時刻が大きく変わることはない」「太陽が西の空に沈む頃には、どの形の月もだいたい東の空にいる」「真夜中の12時頃には、どの形の月もだいたい南の空にいる」「太陽が東の空に昇る頃には、どの形の月もだいたい西の空にいる」などの命題を正しいと判断した者が3〜5割いた。しかも「太陽が西の空に沈む頃には、どの形の月もだいたい東の空にいる」「太陽が東の空に昇る頃には、どの形の月もだいたい西の空にいる」という2命題に一貫して正しいと判断した者(一貫誤答者)とそうでない者に分け、他の命題の正誤との関係を分析したところ、一貫誤答者の方が誤答率が高い他の命題にも誤答していた者が多かった。この予備調査の結果から、(1)「月は、太陽と対置して動いている」と表現可能な、誤ルールを複数の課題事態にある程度一貫して判断基準として用いている学習者が事前でかなり存在しており、その誤ルールが他の命題の正しい判断を困難にさせていることが推測される(2)研究目標として、この誤ルールを正しい「月と太陽の動き」のルールに組み替えることが設定可能である、(3)予備調査で用いた課題を評価課題として採用できる。(3)実際の月の中で、太陽と対置して動いているのは満月であることから、学習者の誤ルールから予想可能な「満月と太陽の動き」を事例配列の最初に用いる必要があるということが、天文映像教材を作成する観点として重要である、ということが新たにわかった。
|