1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本的“反省"の諸相ー関係志向的自己の文化的構成過程
Project/Area Number |
09710100
|
Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
唐澤 真弓 白百合女子大学, 文学部, 助手 (60255940)
|
Keywords | 反省 / 自己批判 / 関係志向的自己 / 文化心理学 |
Research Abstract |
反省とは自らの行動を振り返り、評価しながら、自己の欠点を自発的に見い出し、それによって、自らを向上しようとする行為のことである。さらにこの行為は、特に日本において、他者や社会的なユニットと結び付いた相互協調的自己、関係志向的自己を作り出すための1つの典型的パターンになっている。なぜなら、日本において反省するとは、自らの行為が他者にどのように受け取られ、他者にどのように影響したかを考え、そこに自己向上の余地を見い出そうとすることであるからである。このような反省と呼ばれる行為のパターンは日本における自己の様態を理解する際の中心的概念であると考えられる。しかし、そのような心理学的構造に対する実証的研究はほとんどない。そこで本研究では、日本における反省の形態とその自己観との関係を明らかにし、日本での反省とその特性を明らかにすることを目的とする. 今年度は、研究1を実施した。ここでは目的1「反省パターンが、関係志向的自己認知の中にどのように統合されているかを同定」を達成するために、日本人の反省行為が、日常生活についての自己記述の中で見られること、さらに他者との関係の記述が多いことを検証する。自分がした行為を反省していることは、今後自らの行動を修正して、関係の中に留まろうとする意志を示すことになる。つまり、反省には、関係性の中に自己を見い出すこと、そして関係性に関与していこうとする意志の表われとしての側面がある。 被験者:日本人大学生100名(男女50名ずつ)を対象とした面接調査を、東京、京都、松山で行った。 方法:各被験者に、「この1年を振り返ると、いいこともあったと思いますし、悪いこともあったと思います。それについて思うことを自由に書いてください。」と教示し、自己記述を求める。さらに、1)それはどんなことでしたか。2)それについて、あなたはどのように考えましたか。」と教示し、インタビューを行う。 結果:被験者の書いた文章の中に、反省文がみられるかどうかをコーディングし、分析する。日本では、他者との関係(役割遂行、迷惑をかけない、関係を維持)が大きな部分を示すこと、反省文が多く見られること、またそれによって自己を向上させるように努める意志、前向きの姿勢が記述されることが見いだされた。 さらに、この面接調査のデータを分析し、小学生用及び質問紙の作成を試みた。
|