1997 Fiscal Year Annual Research Report
教育相談係・養護教諭による学校相談活動の現状と連携研修をめぐる今後の課題
Project/Area Number |
09710105
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 美奈子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (20278310)
|
Keywords | 教育相談係 / 養護教諭 / カウンセリング |
Research Abstract |
まず第一の研究では、養護教諭に期待される3つの役割-医者的役割・教師的役割・カウンセラ-的役割-という観点から、養護教諭の役割認知と役割葛藤の問題について検討することを目的とした。以下の4種類からなる調査が、養護教諭227人を対象に実施された。(1)毎日の業務のうち先の3つの役割が占める割合(役割比率)と、それに対する満足度についての質問。(2)役割葛藤尺度:養護教諭としてカウンセリングを行う際の葛藤に関する項目。(3)養護教諭としてのやりがい感についての質問。(4)仕事上の悩みに対する質問。その結果、役割比率・満足感とも、医者的役割は小学校、カウンセラ-的役割では中学校の方が高得点であった。また役割葛藤の強さは、教師的・カウンセラ-的役割への満足度の低さと関連しており、一方やりがい感の強さは医者的役割への満足度と関連していた。また役割葛藤の強い群は弱い群に比ると、多くの悩みを経験しており、とくに人間関係に対する悩みの経験率が高く、やりがい感の強い群は、専門知識の不足や教員の保健理解という問題に悩みという成長に伴う悩みに直面しているものが多いことが明らかにされた。 第二の研究では、学校組織における教育相談体制の現状を明らかにし今後の課題を検討した。小・中学校の教育相談係を対象にした調査内容は、(1)所属校の教育相談体制の現状に関する質問、(2)教育相談に対する個人的な意見を問う質問であった。その結果、小学校ではいじめ対策委員会が、中学校では生徒指導部会の活動が活発であることがわかった。次に、教職経験による比較の結果、学校内でのパイプ役としての機能をよりよく果たすという点では、経験年数が長い教師ほど自己評価が高く、研修に参加した経験のある相談係ほど、研修会に積極的に参加し、相談活動の活性化にも努力しており、みずから相談室の運営に関わろうという姿勢も見られた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 伊藤美奈子: "小・中学校における教育相談係の意識と研修に関する一考察" 教育心理学研究. 45. 295-302 (1997)
-
[Publications] 伊藤美奈子: "相談活動を期待される養護教諭の役割認知とその悩みに関する一研究" カウンセリング研究. 30. 266-273 (1997)
-
[Publications] 無藤 隆 編: "児童心理学" 放送大学(印刷中), (1998)
-
[Publications] 落合良行: "中学3年生の心理" 大日本図書(印刷中), (1998)