1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710130
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助手 (00251687)
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Keywords | ジェンダー秩序 / 文化的再生産 / ジェンダーと教育 |
Research Abstract |
「男らしさ」「女らしさ」の性役割文化がどのようにつくりあげられ、あるいは維持されるるのかについて、精神分析学では家族という場をとりあげて分析してきたが、そこでの家族は抽象的な家族であり、それに対して、マルクス主義フェミニズムは、具体的社会的位置(階層的位置)を占めている家族を扱ってきた。一般的な「男」「女」ではなく、ある特定の「男」「女」が再生産されるのであるというブルデューの見解は、明らかにマルクス主義の影響を受けている。しかし、日本社会に文化的再生産論をあてはめることに関しては、日本とフランスの階層構造の相違ということから常に疑問視されている。しかし、文化的再生産論の意義は、「社会的再生産」を文化の媒介に注目して捉え直すことであり、その文化の権力性を明らかにするために階層性への視点は有益なものとなっている。社会的な秩序や再生産の背後に隠れている力、その力を隠れたものにしている力は暴露は、単なる文化決定論に陥りがちな諸現象の分析に対する批判でもあると評価できる。ジェンダー秩序を性役割文化によって説明するだけでなく、注目されるべきはその性役割文化と秩序とのもっと微細で複雑な関係なのである。文化的再生産論では、そのための方法として社会をサブ・グループに分けて分析する方法がとられており、その典型が階層分析である。ここでは日本社会での階層性の問題から、階層というより、従来のジェンダーと教育研究で積み重ねられてきた進路選択やライフスタイルの分化によって性別をカテゴリー化することにする。とりあえず、男女平等派と差異派のグループに分け、さまざまな価値観、選択肢、社会的特性との関係をみていくことにする。また、文化の権力性とその作用、再生産についてより詳細にみる必要があることから、よりヒアリング調査の比重をまして分析するべく、調査項目の検討、調査票の作成を今年度行った。
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