1997 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの大学院教育における児童虐待への援助に関するスーパービジョンの研究
Project/Area Number |
09710142
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
本村 真 琉球大学, 法文学部, 講師 (30274880)
|
Keywords | 児童虐待 / 大学院教育 / スーパービジョン / 里親 / 虐待親教育 |
Research Abstract |
本研究費により、このテーマに関する国内外の文献収集を行い、またそれ以外にも以下のような研究実績をあげることができた。まず、ニューヨーク市を訪れ、ニューヨーク市の児童へのソーシャルサービス改革に関する資料を収集し、市の現状と課題を聴取した。ニュージャージー州において、ケースマネージャーとして実務に当たられている定子・与那覇・トゥーシ-氏より、当州における児童虐待問題およびそれへの対策としてのソーシャルサービスの現状と課題について専門的意見を聴取し、当研究に関する教示を受けた。セントルイス市のワシントン大学において児童福祉を担当しているDr.Drake,F.B.,Dr.Mcmillen,J.C.,Dr.Pierce,R.L.の3氏よりアメリカにおける児童虐待問題及び大学教育における専門家育成の現状と課題について専門的意見を聴取し、当研究に関する教示を受けると同時に、被虐待児を養育する里親の訓練プログラムに関する資料を収集した。カリフォルニア州のサンホゼ州立大学及びカリフォルニア州立大学バークレー校を訪れ、カリフォルニア州で行っている公的資金による大学院教育を活用してのソーシャルワーカー養成プログラムに関して資料を収集した。 以上の意見聴取や教示及び収集した資料の分析を通して、特にアメリカにおける里親訓練プログラムの重要性が明らかになってきた。里親訓練プログラムには、被虐待児へどう関わるかという問題も含まれてくるが、その知識・技能を基にした虐待親教育という可能性も見えてくるのではと考える。家族と児童の分離はそれだけで子どもにとって新たな心的外傷体験になる可能性を含んでいる。最も望ましいのは虐待親自身が変化することで実親の下で子どもの養育が可能になることであろう。 今後は、この里親訓練プログラムの内容を更に細かく分析し、どう虐待親教育に用いることが出来るのか、又虐待親教育を行う専門家をどのように養成していくのかに焦点を絞って研究を続けていきたいと考える。
|