1997 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人家族介護者の抱える倫理的ディレンマと意思決定
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09710158
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Research Institution | Nagasaki Junshin Catholic University |
Principal Investigator |
沖田 佳代子 長崎純心大学, 人文学部, 講師 (10269095)
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Keywords | 痴呆性老人 / 家族介護(者) / 高齢社会における倫理 |
Research Abstract |
痴呆性老人家族介護の経験にみられる倫理的ディレンマや諸葛藤について調査を行うため、全国の様々な組織形態を含む痴呆性老人の家族介護者の集い・支援団体及び関係施設のなかから、調査協力が得られた50箇所の機関を通じ調査票の配布をし、320票を回収した(回収率61.9%)。調査票には、「日々の介護のなかで、あなたが感じていらっしゃることを、ご自由にお書きください。」という質問形式で、自由回答を求める項目を含めており、それについて内容分析(Krippendorff,1980参考)を行った。183票について自由回答への記入が有り(57.4%)、その内144票(78.7%)が介護における倫理的態度や行動と関係のある内容を記述していた。その144票における介護関係は、嫁義母関係が34.5%、娘実母関係が33.8%,夫婦関係が15.1%,娘実父関係が7.2%,嫁義父関係が5.8%,息子実父母関係が3.6%であった。性別は、92.4%が女性、7.6%が男性である。平均年齢は、55.6歳で、29-79歳までの幅がある。専業主婦が44.4%,無職が19.0%,自営業・家族従業員が13.4%,パート・アルバイトが8.5%,会社員・公務員・教員が4.9%,農業が2.1%,その他が7.7%である。介護における倫理的態度や行動に関わる内容の記述は、6カテゴリーに分類することができた。1,家族介護に対する道徳的責任や介護者の義務について記述した票は、24.0%,44人有った。2,介護を引き受けることによって仕事への支障や他の家族への世話が不十分になることに対する葛藤を示した票は、21.3%,39人有った。3,嫁としての介護に顕著な葛藤を記述した票は、7.1%,13人有った。4,家族介護から社会的介護へと移行する過程で生ずる当事者間の葛藤を記述した票は、26.8%,46人有った。5,痴呆症状による被介護者の自律性の低下と関連して生ずる家族介護者の葛藤を記述した票は、25.1%,46人有った。6,介護状況への対処の仕方及び人生における介護の意味付けに関する記述は、25.7%,47人有った。
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