1997 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者に対する自己決定・意見表明への援助-個別面接を通して-
Project/Area Number |
09710160
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
杉田 穏子 四国学院大学, 社会学部, 助教授 (50270012)
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Keywords | 知的障害者 / 個別面接 / セルフ・アドヴォカシ- / 施設の閉鎖性 |
Research Abstract |
施設で生活する知的障害者に対して個別面接を5月、7月、10月、1月に実施した。現在まで希望者30名に順次面接を開始し、面接終了後にアンケートを実施し、今後の面接の希望を問うた。アンケート結果に従って「もう一度話したい」と回答した対象者にのみ面接を継続している。現在(98年3月)面接継続希望者は14人、辞退希望者は9人、その他(退寮など)7人である。14人のうち面接回数は最多は11回(2人)、最少は1回で、(1人)で、ひとりあたりの平均面接回数は、5.9回であった。自分を表現することを保障された個別面接を継続する中で、今年度2つ知見が得られた。ひとつは、対象者が自信をつけ、能動的になり、自分を肯定的に表現しはじめる、ということである。もうひとつは、施設の生活・規則や職員に対する疑問や不満を表現するようになってくる人もいる、ということである。ただ彼らの声は、全体の声となって生活を変えていくまでには成長していない。彼らの声をどのように束ねていくのかが来年度にむけての仮題となってきた。この結果は日本社会福祉学会第45回全国大会で報告した。 また筆者は、今年8月にスウェーデン、イエテボリを訪れ、知的障害者団体FUBの代表者アンデッシュ・ベルシュトローム氏に本研究についてのレビューをうけた。彼によると、施設のもっている閉鎖性は世界共通の問題であること、スウェーデンは知的障害者施設解体を世界ではじめて実施しており、問題・混乱もあるが、障害者の生活の質は大きく向上し、障害者本人が幸福感が感じているなどのコメントをいただいた。筆者の研究についてはふたつめの知見である。疑問や不満を施設外の人に伝えていくことが大切であるとのアドヴァイスをいただいた。来年度も再びレビューをうける予定である。
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Research Products
(1 results)