1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710175
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 毅 筑波大学, 社会工学系, 講師 (10233800)
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Keywords | 研究者養成 / 学術研究環境 / 助手 / 特別研究員 / 学術政策 |
Research Abstract |
本年度は、若手研究者の養成過程として代表的な位置を占めている大学助手職および日本学術振興会特別研究員に焦点をあて調査・分析を進めた。主たる結果は次の通りである。 大学助手職(学部・学科の責任者を対象とする調査)は、国公立大の理系の場合、大学における教育や研究を支えるという重要な職務を担っている。助手の研究時間不足をもたらすこれらの補助的職務のなかには、事務・技術職員が行うべきであると考えられているものも少なくない。さらに、研究費や研究スペースの点でも一般に厳しい環境におかれている。多数の助手が同時に担っている異なる役割、「研究者養成」と「教育研究補助」、「事務処理」の間に生じているコンフリクトは、現在、助手職の研究者養成機能を阻害するという形で顕在化し、問題としても認知されている。助手に求められる職務は質量ともにますます増加することが予想されるなかで、このままでは「教育研究補助者」や「事務人員」という側面からも、助手職は多くの問題を抱えこむことになりかねない。 特別研究員制度(終了者の就職状況調査)についてみると、終了者の圧倒的多数がその後常勤研究職となり研究活動を継続しており、このような就職状況調査の結果をみる限り、特別研究員制度は若手研究者の辿る一つのキャリアパスとして有効に機能していると考えられる。ただし、非常勤研究職や準研究職、他のPDFなどによる「つなぎ」の期間を経て、ようやく常勤研究職へと至るケースも少なくない。この「つなぎ」問題は、今後、ポスドク制度の量的拡大にともなってより深刻化する危険性がある。この他にも、分野によっては所属大学を変更することにより終了後の就職状況が悪化しているケースなども見られた。他の条件を無視した機械的な流動化の促進については、再検討の余地があるのではないか。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 加藤毅: "若手研究者の養成過程におけるモビリティ" IDE現代の高等教育. 391号. 64-69 (1997)
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[Publications] 加藤毅: "大学助手職の職務・研究環境と学術政策" 計画行政. 20巻4号. 54-65 (1997)
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[Publications] 加藤毅: "研究人材の養成-特別研究員終了者のキャリア分析を中心として-" 高等教育研究紀要. (印刷中).