1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710196
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 雅彦 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (30254444)
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Keywords | 刺激回想法 / 意思決定 / 習慣 / ヒドゥンカリキュラム / 授業研究 |
Research Abstract |
大学近郊の公立中学校教諭一名の協力を得て、国語科の授業4回分を参観、録画した。また、録画を見ながら授業実施者本人に授業中の自らの言動についてコメントしてもらい、コメントの内容を録音した。このようにして得られた画像、音声データを文字化した。 文字化された記録を検討した結果、現段階で得られた暫定的な知見は以下のとおりである。 (1)教師が特定の授業規範(理想的授業の構成要素)に言及する頻度と、その規範を具現していると見なしうる実際の授業行動の出現頻度は必ずしも相関関係にあるとは言えない。例えば、言及頻度の低さに対して授業中の出現頻度が極端に高い授業規範に「生徒に学習規律を徹底すること」がある。 (2)授業規範への言及が個々の教授行動に即してなされる際と一般的信条としてなされる際では、表明される規範の内容が異なる。時間割の遵守や学級集団の生活共同体化といった規範は、一般的信条としては言及されないが個々の教授行動に即しては頻繁に言及されている。 (3)これらのことから、教師自身が気づいていると否とにかかわらず、学校教育の場においては今日もなお、規律化、時間割といった学校教育の普及期の規範、ならびに生活共同体という日本における学校教育定着期の規範が再生産されていることが示唆される。 これらの知見は、今後、記録のいっそうの精査、研究協力者に対する聞き取り調査等を実施した後、平成10年度内に口頭発表ならびに雑誌論文として公表する予定である。
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