1997 Fiscal Year Annual Research Report
政策科学としての教育調査の成立・展開に関する研究(戦前日本の学校調査を中心に)
Project/Area Number |
09710200
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹村 英樹 慶應義塾大学, 教職課程センター, 専任講師 (10216939)
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Keywords | 学校調査 / 教育調査史 / 教育社会学史 |
Research Abstract |
1.戦前日本の学校調査の量的変化の把握 日本初の学校調査は、阿部重孝(東京帝国大学助教授・当時)らによる「小月小学校外三校学校調査」(実施:1921年)である。岡部教育研究室(1938)『日本に於ける学校調査の批判的研究』で対象とされている、1921年から1937年までに実施された学校調査290について、量的変化の把握を行った。調査数を年次別にみると、1920年代前半は10前後であるが、1926年以降増加し、30前後(±5)を推移し、1933年以降は40前後(±5)となる。一調査当たりの調査項目数は平均で1.68であり、包括的な調査は少ない。調査対象となる学校種別では、小学校が47.4%と約半数を占めており、調査対象の大半は初等教育や初等教育に関わる児童についての調査であった。 2.導入の前段階への着目 「小月校調査」に先立ち、阿部重孝が文部省嘱託として「時局に関する調査」を担当しており、アメリカ教育界での学校調査運動を紹介している。文部省普通学務局が作成・頒布した『時局に関する教育資料』第27〜30集において取り上げられている調査は、レイン郡農村学校調査、スプリングフィールド市やクリーヴランド市の学校調査である。これらの紹介と日本の学校調査との比較研究は次年度課題となる。 3.調査を担う研究者 文部省において「学者嘱託」として、若手の研究者が勤務しており、教育調査を担当している。「政策科学としての教育調査」という本課題の対象をその調査を担った研究者という観点から探求することが必要である考えた。そこで、文部省に勤務していた社会学者である蔵内数太、赤坂静也、東大教授から東京市教育局長に転じたを今井時郎に着目して、略歴と研究業績についての書誌学的研究をおこなった。これら3名については、川合隆男・竹村英樹編『近代日本社会学者小伝』(1998年刊行予定)に、項目執筆を行った。
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Research Products
(1 results)