1997 Fiscal Year Annual Research Report
教育現場における重複障害児の視機能評価に関する実際的研究
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09710221
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
佐島 毅 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 研究員 (20241763)
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Keywords | 視機能評価 / 重複障害児 |
Research Abstract |
本年度は、(1)オートレフラクトメータおよびTeller Acuity Cardを用いて重複障害児の視機能評価を実施し、評価法の有効性と信頼性の検証を試みた。屈折および視力の評価にあたっては、子どもが最も楽な姿勢や子どもの興味に配慮しながら行った。1回で安定した値が得られない場合は、数回測定を繰り返して行う。場面適応が困難であったり、拒否したりして評価の実施が困難な場合は、別の時間に改めて実施した。 屈折および視力評価の成功率、所要時間、有効なデータが得られた割合について分析した結果、重複障害児の屈折異常を伴う頻度については、全体の約半数に認められた。また、今回実施した評価法は、ほぼ全員に検査の実施が可能であったが、姿勢・運動の面における障害が重度であり介助による座位が困難な子どもへの検査に関しては、課題が残された。 また、Teller Acuity Cardによる視力評価についは、次のような結果が得られた。(1)Teller Acuity Cardは、重度の障害の子どもにおいても、その障害の種類・程度を選ばず実施可能な有効な評価方法であった。(2)障害の種類・程度によって提示された視標に対する反応の仕方に特徴がみられた。(3)運動機能の障害のうち麻痺を伴う場合には視標への注目にかかる時間が著しく長く、提示されてから2秒以上かかる場合もあった。(4)それに対して、麻痺のない子どもでは視線の動きは提示直後に明瞭に観察されることが多かった。また、(5)障害の重複した子どもにおいては、検査場面の環境整備、すなわち周囲の視覚的刺激をコントロールする(不要な刺激を省く)ことによって、提示視標への注目の度合いが影響されることが顕著であった。
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Research Products
(2 results)