1997 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
09710224
|
|---|
| Research Institution | Shiga University |
|---|
Principal Investigator |
福浦 厚子 滋賀大学, 経済学部, 講師 (90283548)
|
|---|
| Keywords | セアンス / 霊媒 / 道教系寺廟 / 物語 / 経験 / シンガポール |
|---|
| Research Abstract |
本年度はこれまで収集してきたシンガポールにおける道教系寺廟で霊媒と依頼者との間で繰り広げられたセアンスの個別事例を各々テクストとして対象化し、その上で病いや苦悩に関わる依頼者自身の「語り」や霊媒との相互行為の中で語りがどのように物語化されてゆくのかを明らかにした。その結果病いや苦痛に関わる感覚の相対化が霊媒とのやりとりのなかで、あるいは多くの依頼者たちがいつでも参与できるその公開性のなかに存在することが明らかになった。この成果は「相対化する自己-ーシンガポール道教系寺廟のシャーマニズム」として1997年10月25日に日本民族学会近畿地区例会で発表した。また本研究と関連して、セアンスに集う中国系の人々の19世紀以来のシンガポールへの移民史について、自らが語った語りを対象化し、さらに現在の多民族国家のなかでの移民という通時的な視点を導入し「シンガポールの広東阿媽--自らの意志で生き方を決めた人たち」として著書の一章を担当し著した。今後はセアンスの語りがもつ表象的機能に着目し、ディスクール分析を行う予定である。
|
