1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710249
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Research Institution | Osaka Aoyama Junior College |
Principal Investigator |
細谷 勘資 大阪青山短期大学, 国文科, 講師 (40249389)
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Keywords | 口伝 / 教命 / 作法 / 家 / 氏 / 儀式 / 洞院家 |
Research Abstract |
洞院家の編纂物については、公賢の『魚魯愚鈔』に代表されるように興味深い史料が数多く伝来している。また、洞院家は西園寺家の庶流にあたるが、同家における儀式観成立の背景には、本流である西園寺家の存在を無視することはできない。これは西園寺家とともに閑院流の主流を形成する三条家・徳大寺家などの諸家についても同様のことがいえる。しかしその一方で洞院家における口伝・教命がこの三家に影響を与えたことも事実であり、三家に洞院家の編纂物が伝来していることの意味は大きい。このような点をふまえ、本年度は洞院家を中心としながら、三条家・徳大寺家・西園寺家などの諸家の編纂物を検討の対象とした。具体的にすすめた作業は以下の通りである。本研究で対象とする儀式書は、複数の大学・研究機関・図書館等に分散しているが、主な箇所として、宮内庁書陵部、東京大学、京都大学、国立国会図書館、内閣文庫、神宮文庫、尊経閣文庫、陽明文庫などがあげられる。まず、こうした儀式関係史料を調査することを第一とし、その現状を把握することとした。次いでマイクロ・フィルムなど写真版を可能な限り入手し、今後活用する史料としてまとめた。その過程でこれまで管見に入らなかった史料を実見する機会を得た。また、書誌学的な見地からそれぞれの現状や料紙・奥書等を整理し、その伝来過程について検討を加えることにつとめた。これを通して洞院家の儀式書がもつ歴史的性格の一端を垣間見ることができたが、総合的な結論はこれからの課題である。その評価は数年にわたる研究成果の蓄積のうえにたってはじめて行うものであり、現時点で一定の成果を導き出すことは不可能といわねばならない。厳密な史料批判を行いながら、多岐にわたる関係史料を一つ一つ検討することが重要であり、来年度も引き続きこうした基礎的作業を行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)