1997 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における絹を中心とした繊維組織の材質と技法に関する研究
Project/Area Number |
09710282
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 青樹 岡山大学, 文学部, 助手 (30284053)
|
Keywords | 弥生時代 / 繊維関連資料 / 絹 / 動物性繊維 / 植物性繊維 / 考古学的検討 |
Research Abstract |
今年度は、各地で出土している繊維関連資料についての集成作業を中心におこなった。集成は、遺跡調査報告書をもとにその所在と内容についての多項目にわたるデータベース化作業が中心である。集成作業の結果、これまで北部九州を中心とした西日本に分布の集中する傾向がみられたが、東日本においても弥生時代に繊維が相当利用されていることが明らかになった。また、武器類に付着する絹等の繊維が、日本列島の広範囲にわたってみられ、地域性のあることが判明した。 実際の資料については、関東地方、近畿地方、中部地方、中国地方、四国地方の各地において実地に調査を行い、表面観察による繊維遺物の検出にあたった。資料の材質も、絹等の動物性繊維の他、樹木の表皮や蔓等を利用した編み物類にも広げ、弥生時代における繊維利用の全体像を検討している。また、弥生時代における繊維利用形態の成立を考えるため、比較検討の材料として、縄文時代における繊維関連資料の検討もおこなった。 繊維の材質分析のための現世標本の収集作業は、秋田県・東京都・高地県各地でおこない、合わせて現在行われている繊維関連の民俗例も観察した。織り方や編み方、さらに材料の調整法や入手方法など、考古学的検討に参考となる資料収集・実地調査が中心である。
|