1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710284
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 泰通 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40239504)
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Keywords | 古墳時代 / 製鉄 / 復元実験 / 長方形箱形炉 / 円筒形炉 / 箱形鞜鞴 / 皮鞴 / 冶金分析 |
Research Abstract |
古墳時代後期の製鉄炉の発掘例に基づいて炉を製作し、製鉄実験を執り行った。製鉄炉は発掘資料を参考とし、また保存されている製鉄炉については実際に観察したうえで、長方形箱形、円筒形の二種類を設計した。送風機(鞜鞴)は現代の箱鞜鞴(差し鞴)、発掘所見を踏まえた木製箱形鞜鞴(2基)と文献資料に基づいた皮鞴(4基)の3種類を準備し、砂鉄は島根県、木炭は高知県より入手した。 本年度は製鉄炉として長方形箱形炉を製作し、各送風機を採用する3種類の実験を行った。1回の操業は4時間を要し、砂鉄30kg、木炭30kgを消費するものであり、その間、10分ごとに炉内温度を計測していった。その結果、現代の差し鞴は1400度近い炉内温度を容易に可能とするものの、小型の古墳時代の製鉄炉にとってはやや送風量が過多で、生成した鉄塊も順次、酸化していくことが判った。これに対して考古資料ならびに文献資料より復元した箱鞜鞴、皮鞴は1300度後半代の炉内温度を安定的に達成可能で、送風量も適度であるために、差し鞴のように生成した鉄塊が酸化することはなかった。したがって、本研究で復元した鞜鞴の形態・機能が古墳時代後期の箱形炉に適していたことが判る。 操業後、生成された鉄塊と鉄滓はサンプリングし、TAC分析センターにおいて、その冶金学的分析を実施し、その外見調査の所見と併せて整理が進行している。
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