1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710285
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉田 広 愛媛大学, 法文学部, 講師 (30263057)
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Keywords | 弥生時代 / 青銅器 / 青銅器生産 / 模倣品 |
Research Abstract |
1,今年度研究計画の一つの柱であった、青銅器生産関連遺跡・遺物の調査については、九州方面での資料調査が収蔵施設の新営等により十分果たせなかったが、関西方面においてはある程度の成果をあげることができた。とりわけ、これまで鋳型のみからしか扱われてこなかった状況に対して、その他の遺物・遺構に着目することによって、青銅器生産の技術差等に新たな地域性が看取されるらしいとの予察を得ることができた。来年度の九州の資料調査の充実と関西方面での捕捉によって、更に考察を進める予定である。 2,青銅器の資料調査の重点地域とした、山陽地域と南四国地域については、前者はほぼ悉皆調査を終え、成果の一部は既に発表し、悉皆調査の報告も来年度早々に発表予定である。特に、これまで瀬戸内地域と一括されてきた様相に対して、決して一様でなく、かつ山陽地域としての特殊性をもつことが明らかにできた。南四国地域についても、十分な調査は未了だが、正確な図面の作成によって、新たな知見を得ることができており、来年度も継続して資料調査を行う予定である。 3,1の生産関連の調査が十分果たせなかった分、来年度に予定していた模倣品の研究に着手した。まず、青銅器各器種について、材質を問わずその模倣品の全国規模での集成を試みた。これまでは各青銅器毎の模倣品の各論に留まっていたが、器種を越えた模倣品同士の比較研究によって、模倣対象である青銅器そのものに新たな意味を見出せる可能性が発見できた。模倣品まで包摂して青銅器のあり方を検討することで、新たな青銅器文化の展開を位置付けを考察できるのである。とりわけ、来年度の東日本地域の模倣品の資料調査によって、更に考察を深めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)