1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝口 孝司 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (80264109)
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Keywords | 葬送儀礼 / practice / 社会構造 / 成層化 / 出自 / 社会考古学 / 弥生時代 / 西日本 |
Research Abstract |
本年度の研究目標は,A)墓地を構成する埋葬遺構,祭祀関連遺構その他の時期決定を可能にする情報(土器編年,切り合い,位置関係など)の徹底的収集・分析を行い,それらを基盤として,B)葬送儀礼という社会的行為の「場」としての墓地の形成過程の微細な復元と,そこで遂行された社会的行為の内容の復元に着手することであった。 A)については北部九州,中部瀬戸内,関西など各地の考古資料収蔵施設を訪れ,一次資料,二次資料の観察検討を行うことによって,一定の成果をあげることができた。 B)についても,A)で蓄積した資料に基づくパイロットスタディの結果を,原著論文として権威ある学術誌(雑誌『古文化談叢』・Journal of European archaeology)に掲載し,広く批判を仰いで研究の方向性を確かめるとともに,これまで多くの研究者によって分析されてきた墓地資料を再検討することによって,定説とはことなる分析・解釈の可能性を析出することなどができた。また,社会理論の考古学的研究への一般的応用法に関しても,原著論文を公表し(雑誌『考古学研究』)これらの成果を,平成9年12月連合王国ボーンマス大学にて開催された英国理論考古学会年次大会にて報告し,国際的レンジでの研究の報告,意見の交換を行うこともできた。 来年度は,研究成果の集約・報告を行うこととなる。すでに「弥生時代の社会」のタイトルで,墓制を中心として弥生時代の社会構造の変動に関する総括的論考を寄稿中(朝倉書店 考古学シリーズ)である。また,スウェーデンのヨテボリにて開催されるヨーロッパ考古学者会議での研究発表をすでに依頼されている。
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[Publications] 溝口孝司: "二列埋葬墓地の終焉:弥生時代中期(弥生III期)北部九州における墓地空間構成原理の変容の社会考古学的研究" 古文化談叢. 第38集. 1-40 (1997)
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[Publications] 溝口孝司: "考古学研究の基本構造に関する一私論:欧米考古学を主要な素材としての分析と提言" 考古学研究. 44・1. 51-71 (1997)
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[Publications] Koji Mizoguchi: "The reproduction of archaeological discourse:the case of Japan" Journal of European Archaeology. 5-2. 149-165 (1997)