1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710287
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
澤田 秀実 東京都立大学, 人文学部, 助手 (40264577)
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Keywords | 前方後円墳 / 築造企画 / 系統・系列関係 / 類型化 / 相似形墳 / 構造的把握 |
Research Abstract |
本年度は、当初計画通り(1)畿内大型前方後円墳の築造企画の系統・系列関係の追求、(2)近畿・四国地方を中心とした古墳時代前期の前方後円墳の測量図を画像データとして取り込み、パソコンを用いてデータベースの作成を中心に課題に取り組んだ。また(3)類型化の作業も行ったが、関東・東北地方においても畿内大形前方後円墳と同企画墳(類型墳)が幾つか存在することを確認し、同時に多様な企画を持つもの(非類型墳)も再確認した。このうち(1)・(3)の課題に関しては、その成果を1998年1月24・24日に開催された第三回東北・関東前方後円墳研究会にて口頭発表を行い、一定の見解を導くことができた。ただし、(3)に関しては従来よりモデルとして想定していた、限られた空間における継続的な類型墳の展開とそれに伴う非類型墳の存在は各地で抽出したものの集成した資料の質(古墳の依存度、調査の有無、測量図の精度)は必ずしも均一なものではなく、より具体的な実相を検討するために1995年度より継続して踏査・測量調査を重ねている岡山県美作盆地に所在する前方後円(方)墳の三基(久米町油木高塚古墳、勝央町殿塚古墳、中央町諏訪神社裏古墳)の測量調査を実施し、墳丘形態・規模はもとより立地や出土遺物なども併せて調査した。その結果、美作地域は備前地域との関係の中で墳墓の築造がなされている可能性が認められるなど、新たな知見を得ることができた。ただし本地域は古墳の依存度が良好なものの未調査のものが依然として多く、自ら測量調査などを実施し均質な資料を蓄積する必要があるなど解決すべき課題も残されている。 このような本年度の取り組みを通じ、(2)の作業を一部繰り越したほか、(3)に関しては美作地域に研究の重点を移し小地域を徹底的に同一基準で調査を実施することから仮説検証研究に臨んでゆくなどの課題を次年度に残した。
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