1997 Fiscal Year Annual Research Report
国語表記史・文体史資料としての院政鎌倉時代仮名文書・漢文文書の研究
Project/Area Number |
09710295
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
矢田 勉 清泉女子大学, 文学部, 講師 (20262058)
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Keywords | 院政・鎌倉期文書 / 文書の国語史学的利用 / 平仮名と片仮名の関係 / 平仮名字体の変遷 |
Research Abstract |
本研究では、院政・鎌倉期文書の国語史学的利用の基盤整備として、古文書の使用文字(殊に片仮名・平仮名の使用)、仮名字体の特徴、付訓の有無などの調査を行った。具体的には、主として東京大学史料編纂所所蔵影写本および聖心女子大学附属図書館所蔵紙焼写真版に依って、東寺文書および東大寺文書に就いて当該情報を調査し、『東寺百合文書目録』・『教王護国寺文書目録』・『東大寺文書目録』に書き込み、それを電子データベース化するという方法で、両文書の国語史学的利用のための台帳を作成しつつある。また、今年度別経理によって行われた高山寺文書・仁和寺文書の原本調査の結果についても同様の手続き(但し仁和寺文書に就いては既製の目録なし)によって整理を行いつつある。当初の計画では本年度中に更に多くの原本調査を行う予定であったが、より効率的に調査・研究を進めるために、まず基盤整備を集中的に行うことが必要と判明したため、本年度はその方面に力を注ぎ、原本調査に就いては来年度に多くをまわすことにした。 調査を進める中で、平安・鎌倉時代における平仮名と片仮名の関係について、また文書資料における平仮名字体の変遷について気づかれる点があり、それぞれ第76回訓点語学会研究発表会における口頭発表「片仮名と草体仮名の混用について」、論文「平安・鎌倉時代における平仮名字体の変遷」(『国語文字史の研究4』、平成10年刊行予定)にまとめた。更に、書写時代と、現代を含めた印刷時代の文字のあり方との原理的差異についても考えられる点があり、論文「印刷時代における国語書記史の原理」(『東京大学国語研究室創設百周年記念国語研究論集』)を公にした。また、漢文文書と仮名文書の関係に関して、特に助字「与」の訓法においてその相関をまとめつつある。
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Research Products
(2 results)