1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710317
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
佐藤 明浩 名城大学, 法学部, 助教授 (20225915)
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Keywords | 蔵玉集 / 莫伝抄 / 秘蔵抄 / 古今打聞 / 唯独自見抄 |
Research Abstract |
『蔵玉集』『莫伝抄』『秘蔵抄』の各伝本について、書誌・内容の調査を行なった。調査に赴いたのは、静嘉堂文庫・神宮文庫・大阪府立中之島図書館・武田科学振興財団杏雨書屋・賀茂神社三手文庫ほかの図書館・文庫である。国文学研究資料館では、蔵書を閲覧したほか、収集されている写真・フィルムによる調査も行なった。また、同資料館や各図書館・文庫から伝本の写真を入手し、本文の比較検討をするための資料を作成した。これら書誌・内容の情報については、パソコンによるデータベース化をすすめているところである。直接の対象としている三書のみならず、ときに当該書目と合綴されて伝えられている作品を中心として、他書についても検討を加えた。その結果、いくつかの歌書・連歌書と当該各書との注目すべき関連性が明らかになっている。 上記と並行的に俊頼髄脳研究会に参加し、源俊頼著『俊頼髄脳』の一伝本にあたる島原図書館松平文庫蔵『唯独自見抄』を翻刻し、一書として刊行した。『莫伝抄』は源俊頼の作と伝えられながら現在ではその可能性が否定されている。しかしながら、少なくとも中世の一時期においては、『俊頼髄脳』も『莫伝抄』も俊頼の著作として享受されていたのであり、今後はそのような時代における俊頼およびその著作にかかわる認識を明らかにしていく必要がある。そうした意味からも、『俊頼髄脳』諸本のなかでやや特異な位置を占める『唯独自見抄』を翻刻し公刊し得たことは、一定の意義を有すると考えられる。
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