1997 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語前置詞句の計量的構文分析に基づく統語論的・語用論的新展開
Project/Area Number |
09710356
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中川 裕之 東京都立大学, 人文学部, 助手 (10275000)
|
Keywords | コーパス(Corpus / Korpus) / ドイツ語 / 語順(Wortstellung) / 計量分析 / テーマ・レ-マ分節 / 話し言葉と書き言葉 / 統語論 / 語用論 |
Research Abstract |
本年度は,現代ドイツ語の語順(Wortstellung)に関して,理論的観点と実証的観点の両面から考察し,各々の研究成果を論文として発表した. 理論的研究として,統語論と語用論のインターフェイスである機能論(機能主義言語学,機能的文分析,テーマ・レ-マ分節とも称される)を批判的に検討・考察した.この成果を論文『テーマ・レ-マ分節の問題点』として発表した.これにより,機能論に内在する重要な問題点を指摘することができたと考える.これは従来の機能論を乗り越えるための一つの試みであり,理論的基礎研究の性格をなす. 実証的研究として,コンピューター可読式テキストファイル(=コーパス)を用い,計量的な観点から考察した.この際に用いたコーパスは,ドイツ語研究所(Institut fur deutsche Sprache)による,Freiburger Korpus(話し言葉)とBonner Zeitungskorpus(書き言葉)である.コンピューターの活用により,両コーパスに現れる不定人称代名詞manを主格補足語の代表例として抽出し,これを基軸にS-V語順よりもT(Topic)-V-S語順の方が出現頻度の高いことを計量的に実証した.この成果は,論文『計量的コーパス分析から語順変動要因の解明へ』として発表した.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 中川裕之: "テーマ・レ-マ分節の問題点" ドイツ文法理論研究会『エネルゲイア』. 23号. 98-115 (1998)
-
[Publications] 中川裕之: "計量的コーパス分析から語順変動要因の解析へ-話し言葉Freiburger Korpusと書き言葉Bonner Zeitungskorpusにおける不定人称代名詞manの語順-" 東京都立大学人文学部紀要『人文学報』. 293号. 1-17 (1998)