1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710366
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田口 善久 千葉大学, 外国語センター, 助教授 (10291303)
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Keywords | 苗瑶語 |
Research Abstract |
本研究の主要問題である苗瑶語の比較文法の研究のために、9年度はその基礎となる苗瑶語祖語の音韻的な問題の考察から開始した。この問題に対してはいくつかの提案がなされているが、最近の王輔正、毛宗武の研究に対して批判的考察を行った。その成果は「苗瑶語再建の問題」として発表した(11研究発表の項参照)。この中では、苗語系及び瑶語系に特有の声母発展の過程をかなり明確にするとともに、不用に煩雑な祖語の声母の体系について疑問を呈し、それについて解決することを試みた。私見では祖語の声母体系も現在の最も複雑な声母体系をもつ苗語の声母体系と大差ないものである。ついで、各言語方言の接辞付加、声調交替、類別詞の資料をデータとしてコンピュータに入力し、それを整理して本研究の主要な考察のデータ作りを行った(申請時に主要部分の考察は次年度に行う予定としてある)。この結果、接辞は比較的すべての言語に見られるものの、声調交替については言語系統とは相関関係のない偏りがあることがわかった。また、本研究の準備の一環として1996年に調査を行った炯奈語のデータを整理し直した。この作業の成果の一部は「炯奈語の2変種間の声母の対応について」として発表した(11研究発表の項参照)。その中で、この言語は苗語系と瑶語系の中間的な性格をもっているために、祖語の問題についていくつかの重要な提起をするものであることを指摘した。また、資料の面で不足する部分が判明したが、これは次年度に収集する予定である。
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[Publications] 田口善久: "苗瑶語再建の問題〜『苗瑶語古音構擬』の書評をかねて" 言語文化論叢. 4. (1998)
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[Publications] 田口善久: "炯奈語の2変種間の声母の対応について" 少数民族言語調査報告1998.
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[Publications] 279-286 (1998)