1997 Fiscal Year Annual Research Report
現代ビルマ語のT-M対立の意味論的メカニズム-「脱時制的」アプローチ
Project/Area Number |
09710369
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
澤田 英夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助手 (60282779)
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Keywords | 言語学 / 意味論 / modality / 時間解釈 / ビルマ語 |
Research Abstract |
・母国語話者との対面調査 大学院在学中のビルマ人留学生に協力を依頼し、計60時間を費やして対面調査を行った。内容は、約120語の動詞について、助辞-te_/-me_を伴う様々な形式の文(1語あたり最低でも10文)がどのような時間的解釈を許すかを問う、というものである。対面調査によって、次の諸点が明らかになった。 1.V-te_が現在時に成立する一回性事象を表すと解釈できるのは、Vが状態動詞である場合のみではない。動態動詞の中でも心理的な事象を表すものは、大部分がこの解釈を許す。 2.V-te_が現在・過去両方の解釈を許す場合、現在の一回性事象としての解釈が優先される。過去の一回性事象として解釈されるためには、時間名詞句・従属節などの明示的な表現や文脈のたすけを必要とする。 3.過去の事象であっても、その事象を含む一連の状況の観察を話し手が続けている間は、V-te_によって言及することはできない。 4.V-te_が反復性事象としての解釈を許すかどうかは、大部分、言語外的な知識に依存する。 ・コーパス作業 研究補助者によって、次のテキストの入力および校正が行われた。 1.ネ-ウィンミィン(nei_win:myin.)の『マノウッティーハ短編集』より口語小説部分約150pp. 2.ル-ドゥ-・ウ-フラ(lu_du.u:hla.)の『カヤ-族のおとぎ話』より約50pp. オリジナルテキストはビルマ文字によって書かれたものであるが、これをASCIIコードのみを用いた転写システムによって転写し入力した。コーパスを用いての本格的な研究は、2年目(平成10年度)に行うことになる。
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