1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710370
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
加藤 重広 富山大学, 人文学部, 助教授 (40283048)
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Keywords | 品詞体系 / 統辞タイプ / 副詞 / 名詞 / 形容動詞 / 連体詞 |
Research Abstract |
本研究は、これまでの日本語の文法的記述の不備をその品詞体系の不備と捉え、あらたな記述法を検討することを目的としている。そのために従来の品詞体系の問題点を剔抉し、整理しておく必要がある。新しく提示する品詞体系は、従来の問題点を解決できるようなものでなければならない。このことを踏まえ、まず、従来の日本語文法で、名詞、形容動詞、連体詞、副詞といった範疇に分類されていた形態素群をその言語使用の実態に即して別の観点から類型化する作業に取りかかった。この新たな類型化は、日本語の個々の形態系の統辞的性質を十分に記述できるものでなければならない。従って、作業の第一段階として、理論上あり得るタイプをほぼ完全に網羅する類型記述法を提示することにした。例えば、連体修飾のパターンにしても意味や形態から30程度の類型を設定して記述する必要があることが分かっており、連用修飾や非修飾の場合も細かな分類が必要なことが明らかになっている。これは、「複数の品詞機能を兼務する形態素の統辞タイプ」(11.研究発表の項を参照)にまとめてあるもので、類型とするパターンの全体像とその類型の表記法を提案する形を取っている。類型は、理論的可能性を網羅するため2000以上になる。ここで示した類型化の素案を理論的枠組みとして、実際の形態素の記述を行い、データ化するのが第二段階の作業である。現段階では、日本語の中辞典クラスの辞書を土台に、データ化する形態素の洗い出しが一通り終わっており、最終的には5000-6000程度の項目数になることが分かっている。データの入力は、辞書などの記述が十分でない部分を補いながら行う作業で、かなりの労力と時間を要するものであるが、おおよそ半数のデータ入力が済んでおり、新しい言語使用の用例を付加しつつ、データ化を進めて、データ化の結果については10年度中に発表し、併せてその分析を行う目処が立っている。
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