1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09710387
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
西原 大輔 駿河台大学, 法学部, 講師 (70286110)
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Keywords | 日本文学 / 植民地主義 / コロニアリズム / ポストコロニアリズム / 支那趣味 / 中国 / 谷崎潤一郎 / オリエンタリズム |
Research Abstract |
本研究「近代日本文学における植民地主義の研究」の目的は、交付申請書に記した通り、近代日本文学の様々な作品にあらわれた植民地に注目することにより、日本人と植民地の関係のあり方を検討することである。平成9年度においては、研究実績として、2点の雑誌論文を発表し、海外で2回の研究発表を行った。研究発表の第1は、オランダ・ライデンで開催されたICLA(国際比較文学会)第15回大会における発表である。1997年8月17日の発表「"Shinashumi"writings and paintings in Taisho period」では、大正時代の日本文学及び美術における「支那趣味」の問題を、オリエンタリズムの視点から論じた。研究発表の第2は、ハンガリー・ブタペストで開催されたEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)第8回大会での、「Tanizaki Jun'ichiro's Discourse on China」である。1997年8月30日に行ったこの発表では、特に谷崎潤一郎の中国に関する言説に光をあて、帝国/植民地の視点から分析を加えた。EAJSでの成果は、同じく「Tanizaki Jun'ichiro's Discourse on China」と題して『駿河台大学論叢』に掲載し、またICLAの成果も、現在準備中である。一方、支那趣味におけるオクシデント/オリエント及び帝国/植民地といった視点を発展させ、大正期における江戸趣味との関連について分析した論文「江戸趣味と支那趣味」は、季刊『ア-ガマ』第143号に発表した。西洋で生まれたオリエンタリズムが、日本に移植され、中国等のアジア諸国を対象とした、日本版オリエンタリズムが発生してゆくさまを明らかにした。今後も、同様の視点から、研究をさらに発展させてゆく予定である。
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Research Products
(2 results)