1997 Fiscal Year Annual Research Report
家族の中の子供と他人のあなた-児童虐待の通報を法で義務づける効果-
Project/Area Number |
09720005
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木下 麻奈子 香川大学, 法学部, 助教授 (00281171)
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Keywords | 児童虐待 / 通報義務 / 子供と家族 / 法心理学 |
Research Abstract |
(1)調査の設計 高松市および香川県大川郡白鳥町の満20歳以上の男女個人を対象とした。標本数は各地域1,000名である。標本の抽出方法は層化2段無作為抽出法(抽出台帳は選挙人名簿)に基づいた。調査方法は郵送法で行い、はがきによる督促を1回行った。実査部分は社団法人中央調査社に依託した。なお回収結果は高松市で51.1%、白鳥町で56.6%であった。 (2)質問紙の構成 まず被験者と子供の関係に関する質問をした。具体的には(1)家族構成、(2)子供の性別、年齢(3)子供との接触度、(4)子供好きかどうか、(5)子育ての煩わしさ等である。次に子供と親や社会の関係に関する質問を行った。それらは、(6)子供を親のものと考えるか、(7)子供のことで家族以外の者が口出しすることの是非、(8)プライバシー観、(9)地域との係わり方等に関する質問である。第3に、(10)状況別に子供の躾の仕方を尋ねた上で、児童虐待に対する対応の仕方を、(11)相手が友人か付き合いのない近所の人か、(12)状況の深刻さの程度、に分けて比較した。最後に、(13)児童虐待に関する知識、(14)被調査者のデモグラフィックを調べた。 (3)結果 第一に、クロス集計表を使用した分析した結果、児童虐待に関する対応の仕方は、虐待を行っている人が友人か、付き合いのない近所の人かによって大きく異なることが判明した。まず相手が友人の場合は、直接本人に尋ねたり、子供に話を聞いたりするなど、何らかの行動をとることがわかった。ただし友人に注意したにもかかわらず、相手が聞き入れなかった場合は、それ以上の行為をせず、諦めるとする回答が多かった。一方、相手が付き合いのない近所の人の場合、多くの人が、当初から何もせず放っておくとすることがわかった。以上の結果から、公的機関である児童相談所を、家族のことが相談でき身近な「ウチ」の機関と人々に認識してもらうことが、重要な課題であると言えよう。 第二に、高松市と白鳥町の間には、回答傾向に若干の差が見られた。これらの相違は、白鳥町の回答者の年齢が高松市より高かったことに基づくものと考えられる。
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