1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09720007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
王 晨 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (80254374)
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Keywords | 民法典編纂 / 契約自由の原則 / 資本主義化 / 物権制度 / 担保法 |
Research Abstract |
本研究は,現代中国における民法典編纂について,総合的・比較法的に分析することを目的とするものである。今年は,おおむね以下の二つの作業を中心に研究を実施した。 第一は,社会主義市場経済の根幹である債権制度の整備についての研究である。今年は,入手している六つの契約法典草案を基礎に,債権制度の重要な構成部分である契約法の立法を考察した。結論として,対外開放・経済改革による経済の市場化につれて,中国契約法は,ドイツ,日本,台湾,アメリカ等の資本主義契約法に接近しつつあることを看取しうる。即ち,西側化・資本主義化である。契約自由の原則,自己責任原則の採用,取引の便利・安全の重視などがその表れと言える。また,同時に当事者の利益と国家,社会の利益に注意を払い,協調する試みも見られた(なお,研究成果の一部は,今年4月に『中国の経済発展と法』早稲田大学比較法研究所叢書25号に発表する予定)。また,平成9年に契約法典の立法について,現地の立法担当者,学者との国際シンポジウムが北京で行われた。そこで研究成果の一部(契約の効力について)を発表し,最新の立法動向の資料を収集した。 第二は,社会主義市場経済のもうひとつの根幹になる物権制度の整備についての研究である。今年は,比較的に恵まれている担保法の資料を収集したと同時に、その有機的な整理を図った。そして,比較するための研究枠組みを設定して,担保法に関する論文をまとめているところである。
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