1997 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境保護に関する国際法制度の創設とその実施における正当性と公正さの主張
Project/Area Number |
09720019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 明穂 岡山大学, 法学部, 助教授 (00273954)
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Keywords | 国際法 / 正当性 / 公正 / 地球環境保護 / 法源 / 国際法形成過程 |
Research Abstract |
1.地球環境保護を目的とする国際法の普遍的な遵守を確保する要因として、法形成過程の正当性と法の実質的公正さが提示されるのではないか。この仮説を論証していくことが、本研究の目的である。そして、本年度の研究成果として、この仮説を提示することの妥当性が、理論的に根拠づけられた。 2.本研究の成果である拙稿「国際法における公正-フランク国際法学の主眼と課題-」において、以下の3点が明らかになった。第一に、国際法形成過程の正当性や公正さを語ることは、理論的に十分な根拠があること、すなわち、フランク教授が論証したように、国際社会は共通の道徳的認識を有する国際共同体として成立しつつあり、その共同体で共有される正当性と公正の準則が明らかになりつつあるのである。第二に、地球環境保護を目的とする国際法の場合には、特に、資源や負担の公正な分配に至る「正当プロセス」が重要な機能を果たすこと。この点は、例えば、深海底資源を人類の共同遺産とすること自体には合意ができていても、それを実現する国連海洋法会議の「公正手続」が問題にされたことからも分かる。そして第三に、この「正当プロセス」、すなわち国際法の創設・実施過程の手続的・組織的正当性については、フランク教授自身詳細な検討をしておらず、従って、後世に託された課題として残っていることである。 3.従って、本研究では、引き続き、先の仮説を論証するために、今度は実証的に地球環境保護に関する国際法の創設・実施過程を検討していく、南極環境の保護に関する国際法制度が当面の検討対象であるが、現在までのところ資料収集が中心である。
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Research Products
(1 results)