1997 Fiscal Year Annual Research Report
多数当事者による債権担保の場合に関する求償法理の研究
Project/Area Number |
09720021
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
福田 誠治 帝塚山大学, 法政策学部, 助教授 (70250404)
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Keywords | 保証 / 求償 / 代位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、求償問題を通じて多数当事者による債権担保の諸問題を検討することにある。本年度はこの点につきローマ法を中心に検討し、主要なものとして次の知見を得た。 求償問題について系譜研究をする場合にまず検討すべきは、固有の求償権を発生させる委任や事務管理の関係について、その要件論を探ることである。従来のローマ法学によれば、弁済者代位による求償が発展したのは、固有の求償権の発生原因となる委任関係は容易に消滅するなどの事情があったことによるとされている。しかし、本研究においてローマ法文を検討すると、この説明を支持することができず、委任関係に特徴的な終了事由である当事者死亡の場合でも委任を根拠とする求償は認められている。そして、委任関係は相当程度に広く認められ、しかも委任が認められない場合について事務管理の関係を認めることでその欠が補われている。固有の求償権が否定されるのは主債務者が保証を拒絶した場合などに限定されており、代位による求償の中心的な実益は、「固有の求償関係がない場合に求償関係を創設すること」ではなく、「固有の求償関係とは別の訴権を認めることで、求償権の実効性を増すこと」にあったといえる。 次なる課題は中世以降における法発展の過程を検討することであり、特に事務管理の要件が緩和していく経緯や弁済者代位制度の位置づけが中心となる。平成10年度においてはこれに取り組んだうえで、1つの論文にまとめたい。 なお、以上とは別に19世紀フランス法や日本法に関しても検討している。ただ、すでに学位論文であったものを公表する過程で(『北大法学論集』48巻2・6号)、本研究による成果を加筆するにとどめているために、本研究による公表論文としては表示しない。
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