1997 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャー企業の資金調達手段の多様化に対する法整備の研究
Project/Area Number |
09720031
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 正至 広島大学, 法学部, 助教授 (10252892)
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Keywords | ベンチャー企業 / SEC / 未公開会社 / 中小企業 |
Research Abstract |
商用データベースの利用により、ベンチャー企業の成長段階に応じて様々な資金調達手段が社会的に構築されつつあることが理解できた。またSECのアニュルアル・レポート等の一次資料から、米国では極めて初期の段階から民間の資金が投入され易い環境を証券取引規制の面からも構築してきたことも明らかになった。他方、わが国ではベンチャー企業への投資を推進するという方向性は認められるものの、民間資金が投入されにくい現状が理解できた。したがって、民間資金をいかにベンチャー企業に投資させるかということがこれからの法整備を考える上で課題となる。 また、わが国では中小企業政策の一環としてベンチャー企業を育成しようとする法制度は構築されており、公的資金が投入され易い環境はある程度整っている。しかし、それぞれの法の目的の範囲内で施策が完結している場合は別として、個々の企業の成長階段に応じて適用されるが法が異なっているために、法体系全体としての連続性に欠ける結果となっている。さらには、証券市場からの資金調達を促進させるために新たな法の整備が行われつつあるが、これらはベンチャー・キャピタルの投資を促進させるためという傾向にあり、本来考慮されるべき投資家の保護という論点が十分には考慮されていない点で問題である。この論点については、平成10年度に研究予定となっている法規制の実効性の検証から解決策を探ることとする。
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Research Products
(2 results)