1997 Fiscal Year Annual Research Report
自由競争原理の適用範囲とその限界に関するルールの具体化および明確化
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09720032
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
横山 美夏 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (80200921)
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Keywords | 契約法 / 二重契約 / 自由競争 |
Research Abstract |
本研究は、フランス法を参照しながら、わが国の契約法における自由競争原理の限界を明らかにし、競争のルールを具体的に提示することを目的として進められている。 このうち、本年度は、自由競争の範囲およびその限界について明確なルールを持つフランス法に関する基礎的研究を行うとともに、フランスで、様々な紛争類型において、競合する契約がいかなる基準によって解決されているのか調査検討した。その結果、フランス法では、互いに相容れない給付を目的とする契約が複数締結された場合、先に成立した契約が優先すべきであるという考え方がその基礎にあることが明らかになった。それは、学説によって言及されているのみならず、具体的紛争解決を扱う判決例にも現われている。そして、判決例を具体的に分析すると、フランス法は、第一契約の優先を基礎としつつ、債務者の行為を目的とする契約であるか、物の引渡を目的とする契約であるかによって、許容される自由競争の範囲を異にしている。すなわち、債務者の行為を目的とする契約が競合した場合には、債務者がどの契約を履行するかという債務者の選択が尊重され、履行を受けることのできなかった債権者は債務者に損害賠償を請求しうるにとどまるのが一般的である。それに対し、不動産などの特定物に関し、売買契約や賃貸借契約など物の引渡を目的とする契約が競合した場合には、むしろ、先に成立した契約の履行が確保されるべきことが原則となっている。これらは、契約がいかなる給付を目的とするかによって、自由競争の範囲を区別する可能性を示唆するものであって、わが国においても参考になる。 なお、以上の成果は、1998年3月の日仏法学会で報告する予定である。
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Research Products
(1 results)