1997 Fiscal Year Annual Research Report
東京都・ニューヨーク市・ロンドン大都市圏における開発と福祉の比較政治行政研究
Project/Area Number |
09720059
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
進藤 兵 名古屋大学, 法学部, 助教授 (20242050)
|
Keywords | 都市福祉国家 / 世界都市 / 東京臨界副都心開発 / 公共-民間関係 / 時間 / 空間 / カヴァナンス |
Research Abstract |
1.本研究では、97年度については、(1)3大世界都市の国際比較のための共通枠組の精緻化、(2)東京都における大規模都市開発の実証研究、(3)ロンドン大都市圏における大規模都市開発の実証研究を行うこととしていた。 2.(1)共通枠組の精緻化については、成果を公刊できた。まず、都市政治行政における70年代から80年代への変動は、「ケインズ主義的福祉国民国家」体制における「都市福祉国家(urban welfare state)」から「シュムペーター主義的勤労福祉脱国民国家レジーム」における「世界都市」への変動と位置づけうることが解明できた。 また、この両者は、(a)公共-民間関係、(b)空間、(c)時間の3つの「カヴァナンス」における変動として比較することが可能である。(a)公共-民間関係のカヴァナンスには、行政直営からの多様なタイプの「公・民協働」、民活型までの幅があり、(b)空間のカヴァナンスでは、グローバル・ナショナル・ローカル等の「空間尺度(spatial scale)」の組み合わせが重要であり、(c)時間のカヴァナンスでは「経済活動の時間」「日常生活の時間」「行政的時間」「自然的時間」等の組み合わせが意味を持つのである。「都市福祉国家」から「世界都市」への変動とは、実は、こうした3種類の幅・組み合わせにおける変動に分節化できることが、今回の研究により明らかとなった。 (2)東京都における大規模都市開発については、計画通りの成果を得た。東京臨界副都心開発をとりあげ、パーソナル・コンピュータを活用して、インターネット上での情報収集に努めた。臨界部開発については、70年代の「都市福祉国家」型都政が、(a)行政主導で、(b)ローカルな都市問題解決のために、(c)「日常生活の時間」型であったのに対し、80年代の「世界都市」志向の都政は、(a)民間活力を重視し、(b)ローカルやナショナルではなくグローバル対応のために、(c)「行政的時間」型であったこと、を実証できた。 (3)ロンドン大都市圏における大規模都市開発については、パーソナル・コンピュータ等も活用しつつ、ドックランド地区の再開発に関連する資料収集に努めた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 進藤 兵: "「都市福祉国家」から「世界都市」へ" 名古屋大学法学部『法政論集』. 173号. 31-138 (1998)
-
[Publications] 進藤 兵: "地方分権か地方自治か、自己決定か社会的連帯か" 『法律時報』. 69巻4号. 13-20 (1997)
-
[Publications] 進藤 兵: "「地方分権改革と自治体運動」『日本社会の対抗と構想』所収" 大月書店, 317-377 (1997)