1997 Fiscal Year Annual Research Report
経済の国際化とTax Competition(租税競争)の政治学的分析
Project/Area Number |
09720066
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
彦谷 貴子 慶應義塾大学, 総合政策学部, 助手 (00286626)
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Keywords | グローバリゼーション / タックスコンペティション / 税制改革 |
Research Abstract |
本研究は、タックスコンペティション(租税競争)を政治学的に分析することを目的としている。具体的には、計量分析と事例研究の2段階から構成される実証的比較分析の手法をとり、1965年から1993年までの先進民主主義諸国(特にOECD諸国)における、経済の国際化と資本に関する課税の相関関係(経済の国際化の進んだ国ほど資本に対する課税は少ないのか)を計量的に検証した上で、1980年代のOECD諸国の税制改革の事例研究を通じて経済の国際化の国内政治プロセスに与える影響のメカニズム(因果関係)解明する、という手順となっている。 今年度は、第1段階の計量分析を中心に行ったが、その結果、ある一定の相関関係が存在することが示された。しかしその関係は予想されていたほど有意なものではなく、事例研究の重要性があらためて確認された。 第2段階に進むにあたって、事例研究の道標となる、「退出(EXIT)・抗議(VOICE)モデル」の理論的考察も並行して行われた。経済の国際化の国内政策への影響については、これまでの国内利益の主張・調整、という伝統的な政治学のモデル(利益集団モデル)に加え、それを相補完するものとしての国外退出(EXIT)モデルの妥当性をも検討する必要がある。 今年度は、政治学のみならず、広く経済学、とくに公共選択の文献をたどり、この2つのモデルについての論点整理を行った。そして来年度にさきがけて、アメリカおよびカナダの事例研究をスタートさせ、分析を行っているところである。
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