1997 Fiscal Year Annual Research Report
「欧州安全保障協力機構における紛争予防措置の研究:1975年〜1995年」:-紛争予防における規範とパワー-
Project/Area Number |
09720067
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
西村 めぐみ 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 専任講師 (50287562)
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Keywords | コンストラクティヴィズム / OSCE / 予防外交 |
Research Abstract |
本研究の目的は2つである。まず第一に、欧州安全保障協力機構(OSCE)の紛争の平和的処理手段と信頼醸成措置の歴史的発展過程を明らかにすると同時に、実際の紛争調停活動を分析することである。第二に、本研究の理論的視角は、現在、アメリカの国際政治学会を中心に行われているコンストラクティヴィズムをめぐる理論的論争に貢献することである。 平成9年度には、主にOSCEに関する図書、その他関連する国際政治理論研究の国内外の最新研究図書及び論文を幅広く購入すると同時に、研究に必要な機材も購入してデータ処理に役立てた。また平成9年5月には、「日本国際政治学会」(於筑波大学、部会報告)で学会報告を行い、会員の講評を受けた。 こうした活動から、以下の点を新たな知見として得ることができた。まずOSCEにおける紛争の平和的解決手段と信頼醸成措置の発展と紛争調停の実際という冷戦終焉後の新しい安全保障問題において、アクターの持つ規範が重要であり、また一定の条件の下で、規範は、パワーや利益が説明できない現象を説明することが可能であるという点を明らかにすることができた。 さらに本研究では、紛争予防メカニズムの発展過程の歴史的検討と実際の紛争調停活動の事例に分けて論じた。紛争調停活動の事例としては、バルト諸国、ウクライナ、グルジア、マケドニア、モルドヴァでのOSCEの活動を分析したが、こうした新興独立国のアイデンティティーの形成に規範は重要な影響を与えている点が明らかとなった。
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