1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09730004
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大沼 あゆみ 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60203874)
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Keywords | 持続可能な発展 / グリーンNNP / 最適成長論 / 純投資 |
Research Abstract |
本年度は、持続可能な発展の理論的な側面からの研究を主に行った。 一つには、環境面を考慮したときの経済指標である「グリーンNNP」について、理論的側面からその意義付けを検証した。まず、Weizmanが行った、功利主義的目的関数を最大化する最適成長論の中でNNPを意味付ける議論を環境を含めた一般的な体系で展開し、同様の性質が得られることを確認した。次に、以下の三つの観点で持続可能性概念を設定し、グリーンNNPとの関わりを検証した。まず、最適経路上で効用が非減少的であることを持続可能であるとみなすと、グリーンNNPが非減少的であることが必要条件であることを考察した。次に、目的関数の最大値を「資源の厚生価値」と定義し、それが非減少的であることを持続可能とすると、グリーンNNPが非減少的であることは、その必要十分条件となることを示した。最後に、最適経路上の資源配分から達成可能な均等効用経路に着目し、最適経路上でこの均等効用水準が非減少的であることを持続可能とみなすと、グリーンNNPが非減少的であることが、その必要条件となっていることを証明した。これらの分析は、論文として公刊した。 また、他の持続可能性の指標である、純投資(net investment)についての考察を行った。ここでは、目的関数をより一般化した中で定義した資源の厚生価値が非減少的な経路を持続可能な発展経路とみなすとき、それは純投資が非減少的であることと同一であることが示された。この結果は、将来的に論文として公刊する予定である。
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