1997 Fiscal Year Annual Research Report
実証分析におけるデータ解析的統計手法の有用性について
Project/Area Number |
09730020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 惠行 大阪大学, 経済学部, 助教授 (60216869)
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Keywords | 実証分析 / カーネル推定量 / 回帰残差 |
Research Abstract |
実証分析におけるデータ解析的統計手法の有用性について、平成9年度は、(1)モデル選択とモデルの定式化の誤りを判断する手法としての概念整理、(2)ノンパラメトリック統計手法の統計的特性の考察、の2点から研究を進めた。まず、(1)については1930年を挟む前後20年間における、数理統計学の展開と科学哲学との関係を、最新の統計学史、計量経済学史の成果を踏まえつつ、再整理している。1930年代の「論理実証主義」と統計的推測理論の関係および隣接諸科学(特に経済学)への浸透については、当時の学術論文タイトルのデータより、現在取りまとめ中である。また1950年代の「反証主義」と統計的決定理論との関係は、引き続き調査中である。(2)についてはノンパラメトリック回帰(カーネル回帰)による一致推定量の実際のビヘイビアについて、シミュレーション実験によって考察している。一致推定量として、残差分散の推定量を取り上げ、これに関する特性をみた。本研究のパイロット研究で、一致推定量の実験上の収束速度が理論上のそれよりさらに遅いことが確認されたため、その原因を理論上の問題、計算上の問題の2点から考察しているが、今のところ結論は出ていない。現在引き続き検討を加えている。また、data driven band-width selectorと収束速度の関係について、幾つかのselectorを候補にとり、シミュレーション実験を行っているが、現在一部について取りまとめ、実用性についての検討を行っている段階である。
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