1998 Fiscal Year Annual Research Report
実証分析におけるデータ解析的統計手法の有用性について
Project/Area Number |
09730020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 恵行 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60216869)
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Keywords | 実証分析 / カーネル推定量 / 回帰残差 |
Research Abstract |
実証分析におけるデータ解析的統計手法の有用性について、平成 10 年度は、(1)モデル選択とモデルの定式化の誤りを判断する手法としての概念整理、(2)ノンパラメトリック(セミパラメトリック)統計手法の統計的特性の考察、(3)現実のデータに適用したときの問題点の考察、の 3 点から研究を進めた。まず、(1)については計量経済学をめぐる'measurement without theory'と'theory without measurement'の3回の論争(1930〜40 年代、1970 年代、1990 年代)を、科学哲学および数理統計学史のコンテクストで再整理した。(2)についてはノンパラメトリック回帰(カーネル推定)による推定量(一致推定量)の小標本特性について、シミュレーション実験によって考察した。平成9年度同様、残差分散の推定量の特性を中心に分析した。残差分散推定量の収束速度は理論上の速度よりさらに遅いことに加え data driven band-width selectorの影響を大きく受けること、また残差項が独立同一分布に従う場合には、条件付き分散に基づく一致推定量を用いるより、回帰残差から構成した一致推定量を用いる方が平均2乗誤差だけでなく分散も小さいことが示された。(3)については、ノンパラメトリック回帰に基づく検定の小標本特性について検討した。Data driven band-widthselector は未知パラメータである残差分散の関数であるため、検定統計量のサイズは分散推定量の収束速度を反映することが実験からも得られた。実用上の観点からの結果は取りまとめ中である。
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