1997 Fiscal Year Annual Research Report
農工業部門間(農村・都市間)の公的資源配分と選挙制度
Project/Area Number |
09730026
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
川浦 昭彦 小樽商科大学, 商学部・経済学科, 助教授 (10271610)
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Keywords | 公的資源 / 選挙制度 / 民主主義 |
Research Abstract |
平成9年度の研究活動として、公的資源配分と選挙制度についての理論的考察と日本における公的資源再分配の実体調査を行った。 公的資源配分に関する考察 現行の日本の制度では、主権者である国民の代表としての衆議院・参議院の議員により作成される予算が公的資源の配分を決定する仕組みとなっている。この間接民主主義においては、各議員は予算において自らの選挙区により多くの利益を誘導することにより、次の選挙において再選される確率を高めようとするインセンティブを持つ。選挙区・議員定数の割り振りが、人口分布・租税負担能力を正確に反映していない場合には、予算において実現する公的資源配分は、必然的に人口や経済力ではなく議員定数配分をより強く反映するものとなる。 公的資源再分配の実体調査 上記の考察から得られる仮説を検証するために、日本における公的資源再分配の実体を調査した。特に中央政府による公共工事執行の都道府県別統計を整理し、国税収入の都道府県別統計との比較を行った。これにより、公共工事執行の配分比率と国税収入のシェアとはかならずしも対応していないことが明らかになった。平成10年度は、このデータを計量経済学的手法を用いて詳細に分析し、議員定数配分によりこれら二変数間の乖離を説明することが可能であるか検討する予定である。また、米国・英国においても同様の実証分析を行う予定である。
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