1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の事業転換・多角化の要因及び効果に関する実証研究
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09730028
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
森川 正之 政策研究大学院大学, 大学院・政策研究科, 助教授 (70272284)
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Keywords | 日本企業 / 多角化 / 事業転換 / 子会社 / 分社化 / 研究開発 |
Research Abstract |
1.本研究は,最近の日本企業の多角化や事業転換の実態,その要因,経営パフォーマンスに対する効果,についてマイクロデータを使用して定量的な分析を行っているものである。本年度においては,先行研究をサーベイしたのち,通商産業省「企業活動基本調査」の個票データを再構築して多角化・集中化,分社化等の実態を整理するとともに,同調査の企業特性データ及び関連する産業特性データを使用して企業の事業展開を規定する要因等について回帰分析を行った(OLS,TOBIT等)。 2.これまでの主な分析結果は以下の通りである。(1)企業本体(親会社)の事業展開において業種の絞り込みの傾向が観察された。(2)本体の事業展開の広さには,企業規模,研究開発,平均賃金,企業の歴史などが関係していた。(3)事業の構成の変化に対しては,本業売上高の成長,企業規模,研究開発,平均賃金,雇用の固定性,親会社の有無,初期の事業構成などが関係していた。(4)子会社等の数は増加しているが,業種の拡がりは本体と同様に集中化の傾向が見られる。(5)子会社・関連会社の事業展開に影響を与える要因を見ると(親会社の)企業規模,研究開発,開業年次などが関連していたほか,親会社の事業展開が広いほど子会社等の事業展開の幅が広い傾向がある,親(祖父)会社をもつ場合に子会社展開の範囲が狭い傾向がある,といった興味深い結果が観察された。(6)本体(親会社)の事業展開と子会社・関連会社の事業展開の関係は代替的ではないと考えられる。(7)事業の集中化の利益率に対するプラスの効果が一部で観察されたが,頑健な結果ではない。子会社展開と収益性の間にもシステマティックな関係は認められない。 3.今後の課題としては,推計結果の頑健性(robustness)の検証,推計方法の改善,ヒアリングによる補充等が挙げられる。
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Research Products
(1 results)