1997 Fiscal Year Annual Research Report
直接投資と経済成長〜スピルオーバー効果を中心として
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09730034
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡本 由美子 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (00273805)
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Keywords | 直接投資 / 技術移転 / 経済成長 / スピルオーバー効果 |
Research Abstract |
2年間にわたる奨励研究(a)の一年目の研究成果である。まず、直接投資と成長に関する文献サーベイを行った。おもに、スピルオーバー効果と内的成長理論の見地から整理を行った。70年代に比べ、直接投資の成長における正の役割が理論的にもより裏付けられることがわかった。その後、フィリピン、中国、アメリカを事例として、特に製造業における直接投資の役割がどのようなものであるかを探った。その結果、直接投資の経済波及効果はかなり国によって差異があることがわかった。アメリカにおいては、特に自動車産業をとりあげ、ミクロデータを用いて実証研究を行った。確かに、直接投資の正の効果がみてとれるが、技術移転効果は少なく、競争効果がより上回っていた。中国、フィリピンにおいても同様の効果がみてとれるが、アメリカほど詳細なデ-ダが存在しなく、どの効果がより重要であるかということは判明していない。中国に関しては、外資系企業と香港・台湾系企業が国有企業に正の効果をもたらした可能性が高いという結果が得られた。フィリピンにおいては、国内市場が高い関税等によって長く保護されてきていたために、輸出志向型よりも国内市場向け投資が主になり、雇用創出効果ならびにスピルオーバー効果はきわめて限界的になっている。 2年度目は、自動車産業に特化して次の実証研究を行う予定である。第一に、中国の自動車産業の企業レベルのデータを用いて、直接投資の経済成長におけるミクロ研究を行う。次に、アメリカの自動車産業を取り上げ、生産性に与える影響を計測するのみならず、アメリカでの取引関係、産業組織等にどのような影響を与えているか、幅の広い研究を行う。
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