1997 Fiscal Year Annual Research Report
近代フランス社会における「ブルジョワジ-」の政治経済的特質
Project/Area Number |
09730047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田中 直樹 東北大学, 経済学部, 助教授 (70233559)
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Keywords | フランス / 近代史 / ブルジョワジ- / 選挙理論 |
Research Abstract |
報告者の課題は1848年フランスにおける男子普通選挙制度の導入過程を分析することにより、当時の支配階層である「ブルジョワジ-」の持つ政治経済的な特質に接近することである。本年度はまずその予備的な作業として、当時の政治状況、ブルジョワジ-あるいは「民衆」といった基本概念、などに関する先行文献の狩猟および検討をおこなった。その結果、普通選挙制度の導入による民衆の政治参加という事態をブルジョワジ-がいかに評価したかに関して、これまで十分な検討がなされなかったこと、および検討された場合でも、この評価に関しては見解の対立が存在すること、が明らかとなった。すなわち民衆の政治参加は肯定的に評価されたという見解と、否定的に評価されたという見解とが併存している。むろんこの二つの評価自体が当時併存していたということも考えられないことではないが、それにしても両者の関係を論理的に検討する作業がなされなければならない。 他方でこの間19世紀の選挙制度に関して、いくつかの実証的な研究が発表された。それらの検討は今後の課題である。また本年度末には、この問題の専門家であるパトリック・アリスマンディ氏(レンヌ第2大学)の指導を当地で受ける予定である。さらに国立中央文書館所蔵の一次資料、具体的には普通選挙実施に関わる県知事や地方検察当局からの報告書の検討を開始する予定である。現在のところ、「投票は権利とみなされていたか」という視点から、これら資料を検討することを考えている。
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