1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09730050
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
沼尻 晃伸 静岡大学, 教育学部, 助教授 (30273155)
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Keywords | 都市開発 / 都市化 / 土地市場 / 土地区画整理 / 都市計画 / 用途地域制 |
Research Abstract |
1,本年度の研究は、研究課題を明らかにする上での方法論の検討、基礎的統計資料・雑誌記事の整理、事例研究の対象である京浜地区での資料収集の3つに分けることができる。 2,方法論の検討については、当該テーマに関する研究史の整理を中心に行った。1930年代〜戦時期の都市開発や都市計画に関する研究を経済史学に限らず、法学・行政学や都市工学、土木工学などの隣接諸科学の研究を含めて検討した。戦前の都市開発の具体的実証研究が乏しい一方で、都市計画史研究は制度論や官僚論に傾斜しており、民間レベルでの都市開発の実証研究と制度論との関連を検討することが今後の課題であることを確認した。 3,基礎的統計資料・雑誌記事の整理について、フィールドとする京浜地区の諸都市(東京市、川崎市、横浜市)に関して行った。第一に、当該期の府県統計書などを用いて、都市化の実態を示す指標として、人口増加率・産業別人口の変化・工業化の展開の三点についてデータの整理を行なった。第二に、都市化を捉す民間の都市開発事業(土地区画整理事業や不動産資本による宅地造成や埋立地造成など)と都市計画についての資料収集を『都市公論』『区画整理』などの検討を中心に行った。その結果、1930年代において都市計画に基づき都市開発が進むケースは存在するものの事例としては少なく、当該期の現実の都市化は、民間の都市開発によって促されているケースが多いこと、このことが、経済統制のすすむ戦時期に継承されていくことを明らかにした。 4,事例研究の対象である京浜地区での資料調査と資料収集を、対象地域における図書館、公文書館などを中心に行った。今年度は、都市計画と土地区画整理事業についての主要な資料を複写・写真撮影するに留まったが、来年度は3で得た論点に関連する資料を集中的に収集し、研究論文としてまとめに入る予定である。
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