1997 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代から戦時期の中小機械金属工業の発展と戦時期下請制の展開に関する研究
Project/Area Number |
09730055
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
植田 浩史 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (10213357)
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Keywords | 1930年代 / 戦時 / 中小企業 / 下請制 / 機械工業 / 金属工業 / 大阪 |
Research Abstract |
研究期間の初年度である今年度の研究は次のように進められた。 第1に、1930年代の大阪の中小機械・金属工業のデータ整理を行った。活用したのは、1938年版の『大阪市工場一覧』で、区別の工場名、創業年次、従業員数等をアルバイトを活用してデータ入力した。今後1928年時点のデータも入力し、1920年代末から30年代初めの恐慌期がもたらした影響についても分析する予定である。 第2に、1930年代後半に大都市(東京、大阪、横浜、名古屋)で行われた「工業調査(工業経営調査)」のデータの分析を行い、この時期の都市における中小機械・金属工業の実態比較を行った。1930年代前半からの重工業化の過程で増大した機械・金属工業の中小工場がどのような状況に置かれ、どのような経営を行っていたのかは必ずしも明らかではない。この点を当時大規模に行われた、各都市の実態調査から明らかにする作業を行い、その結果は来年度研究成果として発表する予定である。 第3に、戦時期の下請関係を示す大阪の「協力工場名簿」のデータ整理を行った。データについては、すでに入力済みであるので今年度はそのデータをより活用しやすい形の整理を行った。まず、他地域の「協力工場名簿」についても調査中であるが、現在のところ発見できていない。 第4に、今年度の研究成果として「1930年代大阪の中小機械・金属工業」を論文としてまとめた。この論文は、1930年代前半の中小機械・金属工業の展開とその後の日中戦争期の動向を分析したものである。論文では、特に30年代前半の工場数急増の実態、増大した中小工場が日中戦争勃発後の変化のなかでどのような問題に直面していったのかを描き、1940年以降の戦時下請制の前提となる状況の分析を行った。
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Research Products
(1 results)