1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09730078
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
沼上 幹 一橋大学, 商学部, 助教授 (80208280)
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Keywords | 間接性 / 意図せざる結果 / 変数システム記述 / 行為システム記述 |
Research Abstract |
平成9年度は経営戦略論における間接的アプローチに対して概念的基盤となる諸々の研究を,その方法論に注目して整理する作業が大幅に進んだ。その研究成果は,別項に示す論文にあらわれている。その内容を簡潔に記すならば,大きく次の2点に要約可能であろう。まず第1に,既存の経営戦略論と経営組織論の領域では,企業が直面する環境を分析する際に2つの記述様式・分析様式を発達させてきた。ひとつは変数システム記述であり,もうひとつは行為システム記述である。環境をひとつの工学的なシステムであるかのように記述する様式を採用している研究は,環境の予測とコントロールを主目的としており,意図せざる結果を必ずしも分析対象に含めていない。これに対して行為システム記述に基づくならば環境は様々なプレーヤーの意図せざる結果に満ちあふれており,それ故に,間接性の宝庫である。これまでのアメリカ型実証研究の多くは変数システム記述を正当な研究方法として位置づけてきたため,意図せざる結果を盛り込んだ経営戦略論の研究が注目されないできたという状況にある。第2に,既存の技術革新・技術戦略に関する研究領域でも,やはり現状は変数システム記述に基づいて環境をいかに予測し,コントロールするかという研究目的に支配されてきており,その意味では「歪んだ」環境観をもった技術革新研究が進められている状況にある。意図せざる結果を明らかにし,間接的アプローチを体系的に研究していくには,社会システムの記述様式を変数システム記述から行為システム記述へと変換しなければならない。これらのことを既存の文献を通じて明らかにしたことが,本年度の最大の収穫であったと思われる。
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Research Products
(2 results)